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2017年10月25日(最終更新日2017年10月25日):

陸上

軽井沢A&AC、標準突破女子4選手で臨む全国。全中四種競技6位土屋ほのか選手(軽井沢)ハードル勝負。塚田菜々選手(小諸東)ライバル急伸ハードル、あせりと戦い2年連続ダブル全国。市村彩美選手(軽井沢)四種競技の悔しさハードルで晴らす。大森里香選手(芦原)小中学またがる走り幅跳び2年連続全国――10月27日からジュニアオリンピック陸上

第48回ジュニアオリンピック陸上競技大会は10月27日から横浜市の日産スタジアムで行われる。長野県は標準記録突破選手と各種目1人の都道府県枠で中学生の計35選手が出場する。計18人の女子は軽井沢A&ACで練習する3校4選手がいずれも高いレベルの標準記録を突破。土屋ほのか選手(軽井沢2年)は四種競技で全国中学6位入賞を果たし、県大会では県中学新の2822点。今大会出場する100メートルハードルは6月に県中学新をマーク。8月に入ってさらに記録を14秒32に伸ばし、2年生Bカテゴリーの優勝を目指す。塚田菜々選手(小諸東3年)は100メートルハードルで2年連続全中出場。今大会はハードル間の長さが異なる3年生Aカテゴリー種目ユースハードルで初めての決勝進出を目指す。100メートルハードルの市村彩美選手(軽井沢2年)は8月の記録会の14.79で標準記録を0.11秒クリア。小学6年以来の全国に臨む。大森里香選手(芦原1年)は走り幅跳びの1年生Cカテゴリーで昨年の全国小学生に続き2年連続の全国挑戦となる。

 

左から土屋選手、市村選手、塚田選手、大森選手

 

土屋ほのか選手(軽井沢2年)今季計3個の県中学新。四種競技日本一へ勝負のハードル

 

土屋ほのか選手は四種競技で1年生の昨年から県2位になるなど活躍していたが、今年は6月の県中学混成の2805点と7月の県中学総体の2822点で2度、県中学新をマークした。全国中学でも今季3番目の2777点で2年生ながら6位入賞。走り高跳び、砲丸投げ、200メートルのすべてでバランス良く伸ばしていたが、最大の強みとなるのが今回ジュニアオリンピックで出場するハードルだ。昨年秋のベストは15秒03だが今季は春先から14秒台で安定し、6月の県中学混成で14秒41の県中学新をマークした。7月の県中学通信で深澤あまね選手(旭町3年)の14秒28で抜かれるが、8月中旬の安曇野記録会で14秒32と追随している。ハードルの県中学記録ホルダーの座こそ短期で明け渡したけれど、四種競技と合わせて今季計3回の県中学新はすごいのひと言。

 

立ち上げて6年目の軽井沢A&ACは町内に専用の練習場があり、指導者代表の跡部定一コーチ(上田第一中監督)が先頭に立って整備を進めてきた。短距離走路に単管パイプとポリカ波板で組んだ約30メートルの雨天練習ゾーンがあり、冬でも除雪機を稼働しながらハードリングの練習を確保。砲丸投げのサークルもあり、走り高跳びの練習場にも屋根をかけている。跡部コーチは「単発種目に特化しないで、いろいろな種目をやらせたいと思いました」と話す。そうして作り上げたのがこの環境で、離れた陸上競技場の施設に頼らなくても四種競技の練習が思うぞんぶんできる。市村彩美選手も全中へあと一歩の2566点、県通信2位で続いた。ジュニアオリンピックへ3選手が標準記録を突破したハードルがクラブ全体でも最大の強みだ。

 

土屋選手のハードル県中学新は跡部コーチに春先から「狙って行け」と言われていたという。4月のスプリングトライアルでは14秒97。ジュニアオリンピックの2年女子標準記録の14秒90が目前だった。目安となっていたのが先輩の塚田菜々選手。「あのときJOを狙って菜々ちゃんとレースしていて、そこについて行けば切れると思っていたけれど切れなくて悔しい気持ちが残っていたレースです」。そこから5月、6月と一気に伸ばしてきた。「1回14秒台が出てその感覚を忘れないように、後半が落ちてしまうのでそこを直して後半の練習をしました」と話す。冬場走り込んではいたが、後半のハードル間走で刻む感覚がなく間延びしていたという。そこが大幅に改善して県中学新につながった。全中のハードルも予選組2着の14秒49で準決勝に進出した。ジュニアオリンピックに向けても後半の練習を重点的に取り組んで準備してきた。

 

四種競技もハードルも来年は全中優勝の目標が視野に入る。「全中は8位入賞を目指していましたけど記録は結構ベストから離れてしまった。(四種競技最終種目の)200メートルでタイムが落ちてしまい、4種目をやるための体力がついていなかったので来年は200までしっかり走れるようにしていきたいです。(昨年ジュニアオリンピックは)初めて出てまわりの空気に飲み込まれたので、いつも通りの自分のモードに入って自分なりのレースができればと思います」。土屋選手を中心にレースの雰囲気ができるようであれば、さらに強みが発揮されるはずだ。

 

東信総体四種競技200メートルの土屋選手

 

塚田菜々選手(小諸東3年)モチベーションどん底から再スタート。全中、JOとも執念標準突破

 

今季苦しいレースが続いた塚田選手は中学最後を飾るべくジュニアオリンピックに懸けている。昨年突破したハードルの全中標準記録は今年、県中学総体で決められず通信大会の予選までかかった。3年生のライバルの伸びが著しかった。深澤あまね選手、中津晴葉選手(更北)が早くから好記録をたたき出していた。「2年生になって、あまとかはるが出てきてあせりがあって、怖いな、というのがありました。去年のJOは3人で出て(自分)一人だけ決勝に出られなくて悔しくて、そこで陸上をやめようかと思ったんですけど家族とか先生がみてくれて、今年になって『やろう』と思いました」という。ジュニアオリンピックで準決勝には進めたが、モチベーションがどん底まで下がってしまったところからの再スタートだった。跡部コーチの励ましが大きかった。「2月に大阪室内陸上があると跡部先生に言われて、そのときタイムが良くて、そこで『楽しいな』という気持ちになれて今年も全中を狙おうと思いました」。初めて室内60メートルハードルに出場し、中学予選組2着の8秒98。A決勝こそならなかったが、前年であればぎりぎりながらA決勝進出の好タイムだった。「その日結構調子が良かったので予選からふわーんと出ました」という、久しくなかった感覚が出た。B決勝に回って同記録の4位だった。

 

シーズンに入って5月の記録会で14秒67の自己ベストが出たが、そこで頭打ちになってしまった。県中はプレッシャーがあって自分の走り、自分の跳躍ができていなかったという。あとがない状況で臨んだ県通信の予選で全中標準をわずかに0.01秒上回る14秒79が出て何とか2年連続の全中出場を決め、準決勝ではセカンドベストの14秒68に伸ばした。予選でダメならあともダメだろうと思うくらいに気持ちは追い込まれていたという。全中で予選はベストこそ出なかったが14秒76。「ハードルを4台ぶつけちゃって、それでも根性。気持ちの中で『よいしょ』と言って」切り抜け、組5着だった。ジュニアオリンピックの3年生標準記録はずっと高く14秒30。ハードル間が50センチ長いユースハードルに設定された14秒60の標準記録を狙い、7月のうちから練習の重点をJO種目のユースハードルに切り替えた。9月に入って東信ジュニアユースの14秒56でクリアした。けがが続いて万全でなかった中で、何とか目標を達成した。「JOでまずベストは絶対出したいです。去年は8位入賞を目標にしていてできなかったので、今年はリベンジしたいです。決勝のことを考えると予選、準決勝でこけてしまうので一本一本やりたいです」。抜き足で脚が寝てしまうのが課題で、スタートもライバルより1台目で半歩ほど出遅れるという。そこの修正を意識してスタートブロックの位置まで見直せるところを見直して臨む。

 

東信総体の塚田選手

 

市村彩美選手(軽井沢2年)北信越から上昇気流。ハードル8月後半標準記録突破

 

市村彩美選手の標準記録突破は8月も後半に入って中信記録会の14秒79だった。伏線となったのが8月上旬の北信越。そこまでは四種競技勝負。向かい風が強くトラックのタイムが伸びなかったが、4種目合計2588点の自己ベストで3位入賞を果たした。「他県の選手が強く見えたんですけど、それはみんな思っていることなので自分の走りに集中できました。緊張はしたんですけど飲まれなかった。(地元・佐久の開催で)慣れた競技場でできました。応援も力になりました」と話す。ジュニアオリンピックのハードル標準記録は突破できる自信があった。「そこまで出ることは分かっていたのでそこを超えようという気持ちでやりました」

 

日産スタジアムは80メートルハードルで全小に出場した軽井沢中部小のおととし以来となる。「今度は全国から集まってくるので北信越みたいにできるかわからないですけど、雰囲気に飲み込まれないでできればいいかなと思います」。来年の全中につなげるジュニアオリンピックとなる。今年、県通信の四種競技2566点は標準記録に64点届かなかった。「走り高跳びとかハードルは練習の成果が出せたんですけど、200は練習できてなくて体力がついていなくて、そこで足を引っ張ってしまいました」。土屋選手と一緒になって全国大会の雰囲気をつくる。そんな相乗効果が期待される。

 

大森里香選手(芦原1年)走り幅跳び2年連続日産スタジアム「たぶん飲まれることはない」

 

Cカテゴリー1年生の走り幅跳びの標準記録は5m00。大森選手は7月中旬の県通信で5m31を跳んだが追い風参考だった。しかし翌週、佐久選手権の5m13でクリアした。「追い風参考でしか5mが出ていなくてちょっと心配でしたが。全中に行けなかったので絶対(ジュニアオリンピックの)標準を切るつもりで行きました」と話す。

 

小諸市水明小の昨年は県小学生で追い風参考の4m40で優勝して全国小学生出場を果たした。そこで4m42の自己ベストをマークした。中学になって全中もジュニアオリンピックも標準記録の高い壁。「助走の距離を少し長くしてスピードをつけました」と言い、中学総体のトラックは100メートルで勝負して東信優勝。10月になって14秒19の自己ベストがある。もちろんハードルにも取り組んでいて、クラブの先輩たち同様、四種競技で勝負したい気持ちもある。「北信越で決勝に行けなくて悔しかったので、みんな北信越で入賞してすごいなと思います」。学年別のジュニアオリンピックはベスト8入りを目指して追いかける。小中学にまたがる2年連続の日産スタジアム。「たぶん飲まれることはないと思います。1本目から自分のベストを出したいです」と言い、追い風参考の記録を公認で上回るつもりで勝負する気持ちを高めている。

 

全国常連。指導者力と保護者力で実現

 

クラブ指導者代表で上田第一中監督の跡部コーチは長野県選手団のハードルを担当し、ジュニアのハードルブロックのコーチとしては13年目だ。軽井沢A&ACは前任の軽井沢中部小のときに立ち上げた。選手としては中学時代の野球、高校3年間の陸上800メートルと400メートル。ハードルを含む跳躍の指導はさらに前任の櫻ヶ岡中で始まり、同中で同一年度に4選手がジュニアオリンピック出場を達成している。今回の軽井沢A&ACの4選手出場は自身最大の成果に並ぶものとなった。櫻ヶ岡で指導した選手は混成、投てきなど幅広い。長野吉田高、市立長野高などを経て福島大、信州大、新潟医療福祉大などに進んだ女子がその後も活躍。男子は松代高を経て日本大へ進んだ選手の110メートルハードルの記録が現在の長野県記録となっている。

 

100メートルハードルは長野県女子の活躍がしばらく途切れていたが、東信の軽井沢A&ACの6年間の伸長と軌を一にするように変化が生じている。南信では宮澤希選手(伊那北高3年)が県高校記録に迫るタイムで今年長野県として6年ぶりに北信越を突破してインターハイ進出。中信では深澤選手が北信越中学で優勝し、東信は塚田選手が6位、北信の中津選手が7位。四種競技に出ていた土屋選手を除いても北信越の決勝を長野県の3選手が占める状況をつくりだしている。軽井沢A&ACは初期のころから県小学生優勝で全国に出場していて現在では名実ともに全小常連。軽井沢町だけでなく小諸市や佐久市などの選手も参加する小中一貫のクラブになった。「僕自身も下の世代をみるようになってスパンがちょっと変わってきた。まわりの地区でもそれに追いつけ追い越せで、かつては県大会で(中学女子ハードルの優勝タイムが)15秒台、女子走り幅跳びは4mいければ全小」。2013年ごろとは様変わりと言ってもよいほどに、現在のレベルは上がっている。

 

軽井沢A&ACは男子も漆原奏哉選手(芦原2年)が県中ハードル8位。記録では現在2年生の県4番手で来年が期待され、中嶋愛佳選手(佐久長聖中1年)は佐久市平根小の県小優勝に続きハードルで県の学年トップだ。クラブのメンバーではないが跡部コーチが放課後を中心に掛け持ちでみる上田第一中の選手も新人戦東北信はハードルと跳躍で男女ともに表彰台に上がってくるなど、まだ2年目の陸上部ながらよく健闘し4人が県の強化選手になっている。陸上部がない軽井沢高でもクラブで練習を続けて頑張っていた選手もいる。

 

軽井沢はエリア的に東側と北側の県内がない。低いところで降っていなくても雨や霧になることもある。「長野県の端ですが、でもしょうがない。軽井沢の環境に負けないようにここで頑張ります」と跡部コーチ。釣り堀の池だったところのまわりに1周160メートルのチップ敷き走路を整備し、100メートルの直線トラックも造成。砂を購入して走り幅跳びのピットを設け、砲丸投げのサークルは自身でコンクリートを打った。段階的に練習場の整備を進めてきた成果として短距離、長距離、跳躍、投てきのどれも練習環境が整った。自然と選手が四種競技を頑張ろうという気持ちになれる手づくり感のある立派な施設だ。維持管理には手が掛かり保護者、地域の協力は欠かせない。

 

軽井沢中部小と町の社会体育を両輪に発足した軽井沢A&AC。好成績続きで、初心からすると最近は参加するのにいくらか敷居が高くなってしまった様子が自身でも感じられるのが悩ましいところだ。地域でさらなる普及を模索する中で中学トップアスリートが日本一へ勝負する時機を迎えた。土屋選手の四種競技全中6位は2年生トップ。「来年、ハードルと両方で勝負をかけたいと思います」(跡部コーチ)。同学年の市村選手にも来年への飛躍が懸かるジュニアオリンピックとなる。

 

 

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